ナタデココ作ることで知られているアセトバクターキシリウムという種類の酢酸菌(以下ナタ菌、尚これは通称名である)について、実験や観察を行った。
ナタデココを作る上で、ナタ菌の活性が高いことが重要である。そのため、ナタ菌が活動しやすく、BCを生成しやすい環境を調べるため、生育における最適温度を調べた。
通常の植え継ぎ操作を行った液体培地の入った試験管をそれぞれ約30℃、20℃、5℃の環境下におき、2週間にわたって生育の観察を行った。
30℃ | 20℃ | 5℃ | |
1週間目 | 0.024g pH4.5 | 0.003g pH5 | -g pH- |
2週間目 | -g pH- | 0.0058 pH5 | -g pH- |
1週間目は30℃の環境下におけるBCの生成量が最も多く、20℃では少量、5℃では生成がされなかった。
2週間目は30℃の環境下でのBC生成量は確認できず、20℃では1週間目の約2倍、5℃では生成がされなかった。
これらは全て完成したセルロースを乾燥させて重さを量った。
1週間目は明らかに30℃が最適温度であったが、2週間目では測定ができなかった。これは30℃の環境下において菌が活発に活動したため、糖が途中で不足してしまったと考えられる。
よってナタ菌の生育における最適温度は30℃前後だと思われる。
0% | 0.5% | 1% | 2% | 5% | |
2週目 | -g pH6 |
0.0147g pH6 | 0.0114g pH6 | 0.0102g pH5 | 0.0149g pH5 |
3週目 | 0.0025g pH6 | -g pH4.5 |
0.0057g pH5 | 0.0297g pH4 | 0.0203g pH4 |
アルコールの濃度が高くなると、BCの生成量は多くなる傾向にある。また、BCの生成量が多いほど、すなわちアルコール濃度が高いと pH は小さくなり、酸性になる傾向にある。この結果からエタノールから酢酸を生成し、それをエネルギーにBCを作っていると考えられる。
だが酢酸とBCの具体的な関係は詳しくはわからなかった。
グルコース | フルクトース | ラクトース | サッカロース | イノシトール | |
2週間 | 0.0024g pH5 | 0.0011g pH5 | 0.0012g pH6 | 0.0013g pH5 | -g pH7 |
3週間 | 0.0067g pH5 | -g pH6 | 0.0028g pH6 | -g pH6 | -g pH5 |
糖類は基本的にほとんどBCの生成に成功したが、イノシトールは生成しなかった。また、BCを生成した糖類の中でも差があった。
ナタ菌は糖からBCを生成することができるが、同じ6炭化物でもビタミンBの一種であるイノシトールからはBCを生成できないことが分かった。また、実験結果からナタ菌がBCを最も生成しやすいのはグルコースで、次はラクトースと考えられる。これはナタ菌がセルロースを生成するときの代謝の仕組みが関わっていると考えられる。
来年の目標はオリゴ糖とガラクトースのBC生成量を調べる。
ナタデココ作りにはまだまだ課題があるが、それを踏まえていろいろな飲み物でBCの作成を行った。
今回はワイン、コーヒー牛乳、アセロラジュース、野菜生活(紫)、イチゴオレである。
ワイン | コーヒー牛乳 | アセロラジュース | 野菜生活 | イチゴオレ |
〇 | × | × | 〇 | × |
ワインと野菜生活にはBCが生成した。しかし甘いコーヒー牛乳やイチゴオレにはBCが生成しなかったので、 糖が含まれているだけでなく何かほかの要因が必要だと考えられる。